日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャスミン」の意味・わかりやすい解説
ジャスミン
じゃすみん
jasmine
[学] Jasminum
モクセイ科(APG分類:モクセイ科)ソケイ属(ジャスミン属)植物の英名。常緑低木で、世界の熱帯から亜熱帯に約400種分布する。とくにアフリカ、東南アジア、太平洋諸国に多い。よく知られているマツリカ(茉莉花)J. sambac (L.) Aitonはアラビア、インドの原産で、半つる性、高さ1.5~3メートルとなり、葉は広卵形で対生もしくは3枚が輪生する。花は枝先に数個つき、白色で径2センチメートル、花弁は9枚前後、裂片は楕円(だえん)形か円形。ほかに八重咲きの品種もある。花は芳香が強く、中国では花を早朝に摘んで乾かし、お茶に混ぜて飲み、ジャスミンティーの名でよばれている。フィリピンではサンパギータの名で親しまれ、国花とされている。またタイ、ハワイなどではこの花でレイをつくる。日本では3~5号鉢に植え、観賞する。
ほかにハゴロモジャスミンJ. polyanthum Fr.は中国原産で、つるがよく伸び、ナンテンに似た葉を対生する。春、香気のある純白の花を30~40個房状に開く。鉢で行灯(あんどん)仕立てで観賞するのに適するほか、暖地では庭木として生け垣やポール仕立てにする。
ジャスミンの仲間はこのほかに、インドネシアの国花であるジャワソケイがある。また庭木などにするオウバイもこの仲間である。
[坂梨一郎 2021年7月16日]
栽培
マツリカは冬季は3~5℃以上、ハゴロモジャスミンは凍らない程度で管理する。戸外で育つものは暖かい所に植え、日によく当て、用土は排水のよいものを選ぶ。繁殖は挿木により、梅雨のころ葉を3枚以上つけて挿す。
[坂梨一郎 2021年7月16日]