ジャスミン(その他表記)jasmine
jessamine
Jasminum

デジタル大辞泉 「ジャスミン」の意味・読み・例文・類語

ジャスミン(jasmine)

モクセイ科ジャスミン属の植物総称低木状・つる状のものが多く、400種ほどあり、亜熱帯熱帯地方に多い。花は白・黄色のものが多く、夏に咲き、筒形で香りがある。ソケイマツリカオウバイなど。 夏》
ジャスミン属植物の花から抽出した香油

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精選版 日本国語大辞典 「ジャスミン」の意味・読み・例文・類語

ジャスミン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] jasmine ) モクセイ科ソケイ属(属名はJasminium)の植物の総称、および同属植物から得られる香油の名。ふつう、つる性か低木状で、熱帯から亜熱帯にかけて約二〇〇種ある。葉は三~七個の小葉からなる羽状複葉。花は黄、白などの先が四~九裂した筒状花で強い芳香がある。オウバイ、ソケイ、キソケイオオバナソケイ、マツリカなどが知られる。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「人に知られて居る芳香はローズ、ヴァイオレット、〈略〉ヂャスミン、レモン〈略〉等であります」(出典:化粧美学(1924)〈三須裕〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「ジャスミン」の意味・わかりやすい解説

ジャスミン
jasmine
jessamine
Jasminum

モクセイ科ソケイ属の総称名。直立またはつる性の低木。世界に約200種あり,おもに旧世界の熱帯から暖帯に分布する。花に芳香をもつものが多く,香料原植物として栽培されるものも多い。日本には野生しないが,次のような種が観賞用に栽培される。

 ソケイ(素馨J.officinale L.(英名poets jasmine,common white jasmine)はインド,アフガニスタン,イラン方面に野生するつる性の常緑低木。古くヨーロッパに伝えられ,日本には中国より1819年に伝えられたという。葉は羽状複葉で5~9の小葉に分かれ,花は白色で径2~2.5cm,花冠は長い筒があり,先は4裂。花はリナロール,ベンジルアルコールなどを含み,よい香りがある。オオバナソケイvar.grandiflorum(L.)Baileyは花は大きく径3.5cmぐらい。

 キソケイJ.humile L.var.revolutum(Sims)Stokesはヒマラヤ原産の常緑低木で,観賞用に庭に植えられる。葉は羽状複葉で毛がなく,3~7の小葉がある。花は黄色で,径2.5~2.7cm,5~7月ごろ枝先に集散状につき,あまり香りはない。日本ではかつてマデイラ原産のJ.odoratissimum L.と誤認されていた。ウンナンソケイvar.glabrum(DC.)Kobuskiはヒマラヤ,雲南の原産で,小葉は5~9枚,花もやや小型で径1.3cm内外。ヒマラヤソケイvar.humileは花がウンナンソケイに似て,小葉の数は3~5枚である。

 オウバイ(黄梅)J.nudiflorum Lindl.(英名winter-jasmine,中国名は迎春花)は中国原産で庭に植えられる落葉小低木。茎は緑色で4稜があり,葉は小型で3小葉がある。花は黄色で3~4月に開き,径2~2.5cm。寛永年間(1624-44)に渡来したといわれている。

 マツリカ(茉莉花)はアラビアの原産で,香料植物として古くから有名である。高さ1~3mになる常緑低木。葉は広楕円形で長さ3~8cm。花は白色でふつうは6裂し,径3cm内外。八重咲きの品種もある。花はジャスミン茶(〈中国茶〉の項目を参照)に入れたり,ジャスミン油をとって香水の原料とされる。日本では,寒さに弱いので鉢植えにし,冬は温室に入れてやる必要がある。

 ボルネオソケイJ.gracillimum Hook.f.(一名ジャバソケイ,英名Borneo jasmine)は,ボルネオの原産でつる性の常緑低木。全体に軟毛がある。対生する葉は単葉で,葉の裏は蒼白色。花は白色大輪で,花冠は8~9に細裂して芳香があり,多数むらがって下垂する球状の円錐花序を作っている。花期は夏だが,温室では冬に開花する。

 オウバイモドキJ.mesnyi Hance(一名雲南黄梅,英名primrose jasmine)は中国雲南の原産で,高さ3mくらいになる常緑の低木。枝は四角形で毛がなく,葉は3小葉。花は黄色で径5cmくらい。春に咲き,花冠は6裂するが,八重咲きのものもある。明治の初めごろ渡来し,耐寒性があるので露地で栽培できる。繁殖はおもに挿木による。学名はJ.primulinum Hemsl.が広く用いられているが,J.mesnyi Hanceが正しい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャスミン」の意味・わかりやすい解説

ジャスミン
じゃすみん
jasmine
[学] Jasminum

モクセイ科(APG分類:モクセイ科)ソケイ属(ジャスミン属)植物の英名。常緑低木で、世界の熱帯から亜熱帯に約400種分布する。とくにアフリカ、東南アジア、太平洋諸国に多い。よく知られているマツリカ(茉莉花)J. sambac (L.) Aitonはアラビア、インドの原産で、半つる性、高さ1.5~3メートルとなり、葉は広卵形で対生もしくは3枚が輪生する。花は枝先に数個つき、白色で径2センチメートル、花弁は9枚前後、裂片は楕円(だえん)形か円形。ほかに八重咲きの品種もある。花は芳香が強く、中国では花を早朝に摘んで乾かし、お茶に混ぜて飲み、ジャスミンティーの名でよばれている。フィリピンではサンパギータの名で親しまれ、国花とされている。またタイ、ハワイなどではこの花でレイをつくる。日本では3~5号鉢に植え、観賞する。

 ほかにハゴロモジャスミンJ. polyanthum Fr.は中国原産で、つるがよく伸び、ナンテンに似た葉を対生する。春、香気のある純白の花を30~40個房状に開く。鉢で行灯(あんどん)仕立てで観賞するのに適するほか、暖地では庭木として生け垣やポール仕立てにする。

 ジャスミンの仲間はこのほかに、インドネシアの国花であるジャワソケイがある。また庭木などにするオウバイもこの仲間である。

[坂梨一郎 2021年7月16日]

栽培

マツリカは冬季は3~5℃以上、ハゴロモジャスミンは凍らない程度で管理する。戸外で育つものは暖かい所に植え、日によく当て、用土は排水のよいものを選ぶ。繁殖は挿木により、梅雨のころ葉を3枚以上つけて挿す。

[坂梨一郎 2021年7月16日]


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百科事典マイペディア 「ジャスミン」の意味・わかりやすい解説

ジャスミン

モクセイ科の一属で,熱〜亜熱帯に200種余りあり,一般に低木か,つる性の植物。花に芳香があるものが多く,古くより香料植物として栽培されているものも多い。葉は3〜7個の小葉をもつ複葉。白または黄色で,高杯状をした花からは,香料原料のジャスミン油が得られる。日本では,露地にキソケイオウバイ,温室にソケイマツリカなどが栽培される。
→関連項目精油

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャスミン」の意味・わかりやすい解説

ジャスミン
jasmine

モクセイ科ジャスミン属 Jasminumの低木の総称で,またその花からとった香油をさすこともある。この属の種類は熱帯に多いが世界中で栽培される。代表的な種としてはヒマラヤ原産で白花をつけ香油をとるソケイ J. officinale,インド原産でジャスミン茶をつくるマツリカ J. sambacなどがある。日本ではオウバイ J. nudiflorum,キソケイ J. odoratissimumなどが観賞用に植えられているほか,南西諸島にはリュウキュウオウバイ J. floridumがある。

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