化学辞典 第2版 「チオシアン酸エステル」の解説
チオシアン酸エステル
チオシアンサンエステル
thiocyanic ester
チオシアン酸(HSC≡N)のアルキルまたはアリール置換体でRSC≡Nで表され,イソチオシアン酸エステルの異性体である.チオシアン酸カリウムとハロゲン化アルキル,または硫化アルキルと臭化シアンから得られる.芳香族誘導体はジアゾニウム塩とチオシアン酸銅(Ⅰ)からも得られる.無色のニラ様の臭いをもつ液体.メチルエステルは沸点133 ℃.アリルエステルは沸点161 ℃.還元するとチオアルコールになり,酸化するとスルホン酸を与える.アルキル体は高温でイソチオシアン酸エステルに異性化する.少量の酸と加熱すると,3分子重合してチオシアヌル酸エステルを生成する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報