チャボトウジュロ(読み)ちゃぼとうじゅろ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャボトウジュロ」の意味・わかりやすい解説

チャボトウジュロ
ちゃぼとうじゅろ
[学] Chamaerops humilis L.

ヤシ科(APG分類:ヤシ科)チャボトウジュロ属の1種で、8変種がある。属名はラテン語で低い叢林(そうりん)、種名も低いという意味である。地中海原産。幹は高さ5メートル、径15センチメートル。矮性(わいせい)のヤシで分岐が多く密植する。葉は堅く、頂生し、両面とも青緑色、半月形で深裂し、裂片の先端は2中裂する。葉柄は鋭い刺(とげ)があり、葉柄と葉柄基部の繊維は長く固着する。全体がシュロに似ているが、小葉が細く、繊維が少ない。雌雄異株。葉間に肉穂花序をつけ、雌株には雌花と両性花が、雄株には雄花がつく。仏炎包は黄色で2~4片があり、下方のものが分裂し、上方のものは分裂しない。花は黄色で雄しべは6~9本。果実は卵形赤色、長さ1.3~4センチメートルである。栽培最低温度は3℃を要する。

[佐竹利彦 2019年4月16日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のチャボトウジュロの言及

【シュロ(棕櫚)】より

… 日本でも観葉植物として庭園に栽培される中国原産のトウジュロT.wagnerianus Hort.Winter ex Rosterはシュロに比し,葉柄はやや短く,葉はやや小さく,裂片の先端は下垂しない点で区別されるが,雑種と考えられる中間的なものも多い。地中海沿岸産のチャボトウジュロChamaerops humilis L.は,幹は束生し,高さ通常0.3~1.2m,直径12~15cm。葉は扇状半円形で1/3ないし2/3の深さまでさけ,裂片は細い剣状で先端は2裂している。…

※「チャボトウジュロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android