改訂新版 世界大百科事典 「チャンネル諸島」の意味・わかりやすい解説
チャンネル[諸島]
Channel Islands
イギリス南方,イギリス海峡中にある諸島。イギリス領。フランスではノルマンディー諸島Îles Normandesと呼ぶ。フランスのコタンタン(ノルマンディー)半島の西,サン・マロ湾の入口に位置し,ジャージー,ガーンジー,オルダニー,サークの主要4島から構成され,総面積195km2,人口約15万(2001)。古生代のアルモリカン山系に属して平たん地が広く,また温暖な海洋性気候のため,トマト,ジャガイモ,花卉,果樹の促成栽培とジャージー種,ガーンジー種の乳牛で知られる酪農が主産業となっており,イギリス本土市場へ出荷される。また観光・保養地としても重要で,イギリス南部やフランスのサン・マロから航路,航空路が開設されている。巨石墳墓など先史遺跡も多いが,ノルマン人の植民にともない10世紀にノルマンディー公国に編入,ノルマン・コンクエスト後はイギリスの管理下に入り,1254年に王室直轄地となった。その後,主権回復を試みるフランス軍や第2次世界大戦中のドイツ軍に一時占領された。住民はイギリス系のオルダニー島を除き,ノルマン系が大部分でノルマン風のフランス語や慣習法が残り,とくに農村部ではフランス語が日常語となっている。ジャージー島のセント・ヘリア(サンテリエ)が中心都市である。
執筆者:長谷川 孝治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報