改訂新版 世界大百科事典 「チュルリョーニス」の意味・わかりやすい解説
チュルリョーニス
Mikalojus Konstantinas Čiurlionis
生没年:1875-1911
リトアニアの作曲家,画家。教会オルガン奏者を父にもち,リトアニア南部の保養地として名高いドルスキニンカイで,民謡,民話の世界に親しみつつ幼少時代を過ごした。13歳からオギンスキス音楽学校に通い,1893年ワルシャワ音楽院に入学,1902年ライプチヒ音楽院を卒業,その間絵画を学び,35歳の若さで早世した。しかし短い制作期間に作曲,絵画の両面で,〈美しきリトアニア〉の再現かと思われるばかりの作品を数多く残した。彼の作品は,民謡,民話を題材にしたものが多く,いわばリトアニア精神文化の結晶でもあり,リトアニア人は彼を民族の象徴として仰いでいる。代表作である交響詩《森にて》(1901)と《海》(1907)は美しく,けがれない祖国の自然美をうたいあげた曲で,そのメロディは甘美で熱っぽく,リトアニア人の魂をゆさぶってやまない。絵画としては《春のソナタ》(1907),《海のソナタ》(1908)などの連作,民話を扱った絵《王様の物語》(1908)があり,それらはすべてリトアニア第2の都市カウナスに建てられたチュルリョーニス美術館に飾られている。
執筆者:村田 郁夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報