改訂新版 世界大百科事典 「チンチラネズミ」の意味・わかりやすい解説
チンチラネズミ
chinchilla rat
rat chinchilla
齧歯(げつし)目チンチラネズミ科Abrocomidaeの哺乳類の総称。外形はハタネズミに似るが,チンチラにやや似た毛質を備えている。チリチンチラネズミ(ヤブチンチラネズミ)Abrocoma bennettiとイワチンチラネズミA.cinereaがある。ペルー,ボリビア,チリ,アルゼンチンのアンデス山地に分布。体長15~25cm,尾長6~18cm,体重200~300g。体はずんぐりと丸く,四肢が短く,前足に4指,後足に5指がある。後足の中央にある3指のつめの上に剛毛が櫛(くし)状に突き出ており,体毛をきれいにするのに役だつらしい。体上面は茶色がかった灰色,下面は茶色。チリチンチラネズミは標高1200mあたりのアンデス山地にすむ。他の1種は3700~5000mくらいにいる。地中のトンネルや岩の割れ目を巣とする。やぶの低木や木に登ることもでき,いろいろな種類の植物を食べる。繁殖期は7~8月のようで,妊娠雌が採集されたり子を運ぶ雌が観察されている。妊娠期間は115日前後で,1腹4~6子くらいとみられている。飼育下での寿命は2年4ヵ月の記録がある。
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報