1883~85年に書き上げられた詩人哲学者ニーチェの主著。自分の理想的分身ツァラトゥストラ(ゾロアスター)に「超人」や「永劫(えいごう)回帰」などに関する教説を語らせた説教集の観を呈する。しかし、等しく力あるものの永劫回帰を説くなど、一見、新しい衣装をまとってはいるが、経験的事実の背後に開示される根源の生の愉悦に捧(ささ)げられた賛歌である点では、処女作『悲劇の誕生』の延長線上にある。序説と第一部では、10年間「山上の孤独」にこもった主人公が人間界に下り、「超人」の理想を説く。第二部では、「永劫回帰」の思想がしだいに熟するようすが叙述される。第三部では、絶対肯定の思想がいよいよ熟し、もろもろの生賛歌が歌われる。第四部は、白髪の主人公が9人の高人を招き、彼らが誘う「同情」という最後の試練に耐えるようすを述べる。
[山崎庸佑]
『氷上英廣訳『ツァラトゥストラはこう言った』上下(岩波文庫)』
…この頃より,指揮者として,同世代のマーラーおよびワインガルトナーと楽壇の帝王を競うようになる。またこの時期には,作曲家としても目ざましい活躍をして,《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》(1895),《ツァラトゥストラはこう語った》(1896),《ドン・キホーテ》(1897),《英雄の生涯》(1898)といった彼の創作を代表する交響詩の傑作群が書かれた。98年からベルリン宮廷歌劇場の第1指揮者に就任して,20年間その地位にありながら,ヨーロッパ各地,アメリカに演奏旅行。…
※「ツァラトゥストラはこう語った」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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