ツェーラム(その他表記)C.W.Ceram

改訂新版 世界大百科事典 「ツェーラム」の意味・わかりやすい解説

ツェーラム
C.W.Ceram
生没年:1915-72

ドイツジャーナリスト,著述家。本名はマレクKurt Wilhelm Marekで,筆名はMarekのkをcに換えて逆につづったもの。ベルリンに生まれ,ベルリン大学に学んだのち,文芸・演劇・映画評論に携わる。1938年軍隊入りしてヨーロッパ各地を転戦,戦後は《ウェルト》紙やローボルト社の編集者として活動した。54年以降アメリカに住み,71年帰国してハンブルクで没。資料を踏まえた堅実かつロマンティックな考古学啓蒙書の著者として知られ,とくに《神・墓・学者》(1949)は26ヵ国語に翻訳される世界的ベストセラーとなった。ほかに《狭い谷と黒い山》(1955),《神と墓の古代史》(1957),《最初のアメリカ人》(1972)などがあり,大部分邦訳がなされている。また,映画史研究の分野でも一家を成し,《映画の考古学》(1965)は映画産業成立前史を扱ったユニークな労作である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツェーラム」の意味・わかりやすい解説

ツェーラム
つぇーらむ
C. W. Ceram
(1915―1972)

ドイツの小説家批評家。本名はクルト・マーレクKurt W. Marekで、ベルリン生まれ。『ディー・ウェルト』紙編集、ローボルト書店主任編集顧問などを務める。『神・墓・学者』(1949)は最近200年の考古学研究を小説化したもので、興味深い記述で知られる。ほかに『狭い谷 黒い山――ヒッタイト帝国の秘密』(1955)、『神と墓の古代史』(1955)、『最初のアメリカ人』(1972)など。

平井 正]

『村田数之亮訳『神・墓・学者』上下(中公文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツェーラム」の意味・わかりやすい解説

ツェーラム
Ceram, C. W.

[生]1915
[没]1972
ドイツの小説家。本名 Kurt Wilhelm Marek。主著は考古学の発展を跡づけた小説『神々と墓と学者』 Götter,Gräber und Gelehrte (1949) で,ベストセラーとなった。

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世界大百科事典(旧版)内のツェーラムの言及

【映画】より

… 〈映画〉はそもそも〈有用なものと快適なものとをごっちゃにし,遊びながら人間の本当の顔を開示する〉とG.R.ホッケが定義した,〈魔術師〉たちの〈遊戯機械〉〈悪魔の発明〉であったのである。
【映画の誕生】
 《映画の考古学》の著者C.W.ツェーラムは,映画の誕生を次のようにいっている。〈“映画”はシネマトグラフとともに始まった。…

※「ツェーラム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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