日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツガカレハ」の意味・わかりやすい解説
ツガカレハ
つがかれは / 栂枯葉蛾
[学] Dendrolinus superans
昆虫綱鱗翅(りんし)目カレハガ科に属するガ。はねの開張は雄60~75ミリメートル、雌は80~90ミリメートル。色彩は変異性に富み、黒褐色から赤褐色。前翅には黒色の横線が2本あり、中室端に白紋をもつ。多くの場合、外横線の外側に赤褐色帯がある。日本全土のほか、樺太(からふと)(サハリン)からシベリアに分布する。年1回夏に成虫が羽化し、よく灯火に飛来する。幼虫はモミ、ツガ、トウヒ、カラマツ、ヒマラヤスギなど多くの針葉樹に寄生する。幼虫は体長70ミリメートルに達するケムシで、体の色彩斑紋(はんもん)は樹皮に似ている。通常の毛のほか毒針毛をもつので、毛が皮膚に刺さると炎症をおこす。晩秋、若齢幼虫は樹幹を降りて根際などで越冬する。春になるとふたたび摂食し、初夏に老熟して、繭をつくって蛹化(ようか)する。
[井上 寛]