ツガ(読み)つが

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツガ」の意味・わかりやすい解説

ツガ
つが / 栂
[学] Tsuga sieboldii Carr.

マツ科(分子系統に基づく分類:マツ科)の常緑針葉高木。トガともいう。大きいものは高さ40メートル、径1.5メートルに達する。樹皮は赤褐色または灰褐色で堅くて厚く、深く縦裂し、不規則な鱗片(りんぺん)となってはげる。一年生枝は細く、黄褐色で毛はなく光沢がある。葉は2列に並び、線形で長さ0.7~2.5センチメートル、幅2~3ミリメートル、先はへこむ。雌雄同株。4月ころ開花する。雄花は枝端に1個ずつつき、長卵形で黄色。雌花小枝の端に1個ずつつき、長卵形で紫色球果は急に湾曲した果柄の先に下向きにつき、楕円(だえん)状卵形で長さ2~3センチメートル、径1~1.5センチメートル、10月ころ淡褐色に熟す。種子は倒卵状円形で長い翼がある。海抜10メートルくらいから1800メートルの尾根または尾根に接する斜面などに群生し、福島県以西の本州から九州、および韓国の鬱陵(うつりょう)島に分布する。材は紅色を帯びた淡褐色で木目はまっすぐであるため建築、器具、土木船舶、車両、楽器などに利用する。また庭園樹にもする。

[林 弥栄 2018年5月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツガ」の意味・わかりやすい解説

ツガ(栂)
ツガ
Tsuga sieboldii

マツ科の常緑高木の一つで,日本の中部以南の山地に生育する。別名トガ,ツガマツ。幹の高さ 30m,径 1mに及ぶ。樹皮は深く縦に割れ,葉は枝にほぼ2列に並んで生じ,扁平な線形で長さ1~2cmあるが長さはふぞろいである。先端がわずかにくぼんでいて,樹脂道は下側の中央に1個だけある。雌雄同株。球果は下垂する。パルプ材として利用される。

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