日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツチスガリ」の意味・わかりやすい解説
ツチスガリ
つちすがり / 土棲蜂
[学] Cerceris hortivaga
昆虫綱膜翅(まくし)目アナバチ科の1種、または同属のハチをさすこともある。この属はアナバチ科ではもっとも大きい属で、世界で850余種記録されているが、日本では14種しか記録されていない。日本産の同属のハチは体長10ミリメートル内外、黒色で種に特有の黄色斑(はん)がある。体は硬く、体表には粗大点刻がある。腹部各節間は強くくびれている。巣は神社や仏閣の境内とか運動場、山道などのつねに硬くて粘土を交えた平坦(へいたん)な裸地に深い主坑を掘り、それから枝分れした独房を設ける。各房に獲物を蓄えて、その一頭の体腹面に一卵を産む。獲物は外皮の非常に硬い甲虫目と膜翅目を狩る。日本ではツチスガリとマルモンツチスガリC. japonicaがヒメハナバチとコハナバチ類、キスジツチスガリC. arenaria yanoiとソボツチスガリC. soboがゾウムシ類、アカアシツチスガリC. albofasciataとヒメツチスガリC. carinalisがハムシ類を狩る。
[須田博久]