改訂新版 世界大百科事典 「ツノナス」の意味・わかりやすい解説
ツノナス
Solanum mammosum L.
ナス科の低木状草本。ブラジル原産で,その果実を装飾用やいけばな材料として用いる。ナスに近縁で,カナリアナス,キツネナスまたフォックス・フェースともいう。高さ1.5m以上となる。葉は広楕円形で浅い欠刻があり,葉縁には微毛を,葉柄にはとげをもつ。茎には白色軟毛がある。夏,葉腋(ようえき)に径3cmくらいの紫色星形の5弁花を咲かせるが,あまり目だたない。果実は成熟すると長さ5cmくらいとなる卵形で,基部に数個の角状突起がある。果実が熟すとつやのある濃黄色や赤色となって美しい。
日本では春まき一年草として扱うが,結実が遅いので,播種(はしゆ)は2~3月ころ温室内で行い,夏までになるべく大株に仕立てるよう心がける。関東以西の暖地栽培に適している。黄熟した果実は装飾用としておもしろく,枝つきのまま,また果実だけを置物としてもよい。
執筆者:柳 宗民
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報