ツルラン(読み)ツルラン(英語表記)Calanthe triplicata

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツルラン」の意味・わかりやすい解説

ツルラン(鶴蘭)
ツルラン
Calanthe triplicata

ラン科の常緑多年草。九州南部,琉球列島小笠原諸島 (南硫黄島) ,中国,台湾マレーシアマリアナ諸島ニューカレドニアオーストラリアに分布し,林床や草地に生える。地下茎は短く,偽鱗茎 (→鱗茎 ) が2~3個連なり,葉が3~6枚つく。葉は長楕円形で長さ 20~50cm,葉柄部は短く,裏にまばらに短毛がある。花茎は高さ 40~80cmで,包や子房とともに密に開出短毛がある。花期は6~9月。花茎上部に密な散房花序をつけ,白色花が長期にわたって次々に咲く。唇弁萼片より長く,細長く3裂し,中裂片は大きく,さらに2裂して左右斜めに広がり,基部には黄色または紅色の鶏冠状突起が3条ある。は細長く,先で上向きに曲がる。和名は,唇弁の鶏冠状突起を頭に見立て,花の姿と合わせて丹頂鶴を連想したものであるという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツルラン」の意味・わかりやすい解説

ツルラン
つるらん / 鶴蘭
[学] Calanthe triplicata (Willem.) Ames

ラン科(APG分類:ラン科)の常緑多年草。茎は高さ40~80センチメートル、上部に多数の白色花を密集してつける。花径2~3センチメートル、唇弁は基部で3裂し、中裂片はさらに2裂する。約2センチメートルの細長い距(きょ)がある。日本のエビネ属のなかでは南方系で、九州南部、沖縄、および台湾、中国、東南アジア、オーストラリアに分布する。名は、花が開いた状態をツルが飛ぶ姿に見立てたもの。

井上 健 2019年5月21日]


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世界大百科事典(旧版)内のツルランの言及

【エビネ】より

…(2)夏咲種群 (a)ナツエビネC.reflexa Maxim.(イラスト) 花は淡紫色で花被片は反曲,唇弁は船底形。(b)ツルランC.furcata Batem.(イラスト) 花は白色,唇弁は大文字形,正開咲き,多花性,暖地産で耐寒性はない。(c)オキナワエビネC.okinawaensis Hayata 花は紅紫色,花型はツルランに似る。…

※「ツルラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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