ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディオスクルス」の意味・わかりやすい解説
ディオスクルス
Dioscorus
[没]530.10.14. ローマ
教皇ボニファチウス2世(在位 530~532)の対立教皇(在位 530.9.~10.)。アレクサンドリアの助祭だったが,キリスト単性説に反発してローマへ赴く。教皇シンマクス(在位 498~514)に仕え,東ゴートのテオドリック大王(在位 493~526)への教皇特使としてラベンナへ派遣された。また 519年,教皇ホルミスダス(在位 514~523)により,使節団を率いてコンスタンチノープルへ派遣され,東西教会の再統一を果たした。教皇フェリクス4世(3世。在位 526~530)は,ゴート人とビザンチン帝国の間でイタリアの支配と教皇の座をめぐる争いが起こるのを避けるため,ゴート人の血を引くボニファチウス2世を後継者に指命したが,ローマの聖職者の大多数はそれを拒否してディオスクルスを擁立し,両者は同時に教皇として登位した。だが,ディオスクルスの突然の死によりこの分裂は終わった。当時の教会法に従えば,ディオスクルスが教皇であるとする主張は正当であった。
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