ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴート人」の意味・わかりやすい解説
ゴート人
ゴートじん
Gothi; Gothen; Goths
(1) 東ゴート人 部族国家はエルマナリック王のとき全盛に達したが,375年フン民族に征服された。フン民族の王アッチラの死後,457年に独立し,ローマ人の同盟者となった。その後テオドリック大王は東ゴート人を率いてイタリアに入り,ゲルマンのオドアケルを破って,493年イタリア半島全域を征服,東ゴート王国を建設した。しかし大王の死後,王位をめぐる内紛などで 555年滅亡。
(2) 西ゴート人 376年フン民族に追われてローマ領内に入り,バルカン半島を奪い,378年アドリアノープルの戦いで東ローマ軍を破り,382年モエシアに定住,ローマ人の同盟者となった。ギリシア,イタリアを経て 415年ヒスパニア(イベリア半島)に入り,西ゴート王国を建設。475年エウリック王のときヒスパニアの大半を領有,ローマからの完全独立を宣した。711年北アフリカから侵入してきたイスラム教徒によって滅亡させられるまでヒスパニア支配権を保持。西ゴート諸王はローマ系住民とゴート人との融和に努め,ローマ,ゲルマン両法の要素を合わせた『西ゴート法典』編纂は画期的な業績であった。
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