改訂新版 世界大百科事典 「ディバタグ」の意味・わかりやすい解説
ディバタグ
dibatag
Ammodorcas clarkei
偶蹄目ウシ科の哺乳類。四肢と首が著しく長く,頭が小さく扁平な中型のアンテロープ。ジェレヌクに似るが小さく,雄のみにある角ははじめ後方に,次いで前方に湾曲する。角の長さは15~25cm。体色は,白色の背面を除いて全体に紫色がかった赤褐色。尾は長く黒色。体長117cm前後,尾長35.5cm前後,体重27~34kg。ソマリアの北東部からエチオピアにかけての,ところどころに茂みのある見通しのよい乾燥地帯に,ふつう単独,あるいは3~5頭の家族群ですみ,ジェレヌク同様,後肢で立って灌木の葉を食べる。草は柔らかな若葉を除きほとんど食べない。敵の接近を知ると茂みの陰にじっと動かずに立ち,頭だけ上に出して見守る。密猟,干ばつ,それに家畜との競合が重なって急激に個体数が減っているものと思われるが,詳細は不明である。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報