デオキシコルチコステロン(読み)でおきしこるちこすてろん(その他表記)deoxycorticosterone

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

デオキシコルチコステロン
でおきしこるちこすてろん
deoxycorticosterone

副腎(ふくじん)皮質から分泌される鉱質(電解質コルチコイドアルドステロンなど)に属するステロイドホルモンの一つで、ステロイド化合物C21H30O3である。水分や電解質の平衡を正常に保つ働きをしており、とくにナトリウムを吸収し、カリウムを排出する作用がある。アルドステロンを生合成する過程の中間生成物と考えられている。アルドステロンとほぼ等しい量が正常時に分泌されているが、その作用はアルドステロンのわずか3%にすぎない。したがって、デオキシコルチコステロンの電解質代謝に及ぼす影響は通常では無視しうる程度のものである。しかし、アジソン病のような副腎皮質機能不全症に補充療法として糖質コルチコイドとともに用いることがある。

[菊池韶彦・小泉惠子]

『N・M・カプラン著、猿田享男他訳『カプラン臨床高血圧』(1995・医学書院エムワイダブリュー)』『植松俊彦他編『シンプル薬理学』改訂版(2004・南江堂)』『田中千賀子他編『NEW薬理学』(2007・南江堂)』


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