パプアニューギニアのトロブリアンド諸島の住民。言語はオーストロネシア語族のメラネシア語派に属する。ヤムイモ,タロイモ,サトウキビなどの焼畑耕作を行なう。比較的平等な社会の多いメラネシアにあっては珍しく首長制が存在し,母系を通じて地位が継承される。社会はトーテム氏族に分かれる。村はヤムイモの貯蔵小屋と首長の家を中心にしてそのまわりに円形に単位家族の住居が立ち並ぶ。村はまた主たる社会的単位であり,その構成員は協同して畑をつくり,儀礼を行ない,交易の遠征に出かける。周囲に住むいくつかの民族間で行なう交易システムであるクラは,ブロニスロー・カスパー・マリノフスキーの『西太平洋の遠洋航海者』 Argonauts of the Western Pacific (1922) に記述され有名になった。そこでは赤い貝の首飾りと白い貝の腕輪が交易の媒介品となっており,交易相手である島々の間を前者は右回りに,後者は左回りに大きなくり舟で回る。