ドラノワ(読み)どらのわ(英語表記)Jean Delannoy

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドラノワ」の意味・わかりやすい解説

ドラノワ
どらのわ
Jean Delannoy
(1908―2008)

フランスの映画監督。1930年代から1960年代にかけて活躍した巨匠の一人。ノワジー・ル・セック生まれ。1930年代の詩的リアリズムを受け継ぎ、第二次世界大戦後、文学を原作とする映画を数多く手がけた。オータン・ララとともにフランソワトリュフォーからその「フランス的資質」を非難されたが、生涯に50本を超す映画を残し、その多くの脚本も手がけた。1927年に俳優としてデビューし、数本の短編を経て、1935年に『パリ=ドーヴィル』で監督デビュー。戦後、アンドレ・ジッド原作でピエール・ブランシャールPierre Blanchar(1892―1963)、ミシェル・モルガン主演の『田園交響楽』(1946)でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した。1952年に『愛情の瞬間』、1956年に『マリー・アントワネット』、『ノートルダムのせむし男』、1958年には『殺人鬼に罠(わな)をかけろ』を発表。1961年には『クレーヴの奥方』で、フランス・シネマ大賞に輝いている。その後はテレビ作品が多かったが、遺作は劇場公開作品の『ナザレマリア』(1995)。

[古賀 太]

資料 監督作品一覧(日本公開作)

悲恋 L'eternel retour(1943)
血の仮面 Le bossu(1944)
しのび泣き  La part de l'ombre(1945)
田園交響楽 La symphonie pastorale(1946)
賭はなされた Les jeux sont faits(1947)
想い出の瞳 Aux yeux du souvenir(1948)
海をみた少年 La garçon sauvage(1951)
愛情の瞬間 La minute de vérité(1952)
女と奇蹟 Jeanne d'Arc(1953)
妄執の影(愛の迷路) Obsession(1954)
寝台の秘密 Secrets d'alcôve(1954)
首輪のない犬 Chiens perdus sans collier(1955)
マリー・アントワネット Marie-Antoinette reine de France(1956)
ノートルダムのせむし男 Notre-Dame de Paris(1956)
殺人鬼に罠をかけろ Maigret tend un piège(1958)
サン・フィアクル殺人事件 Maigret et l'affaire Saint. Fiacre(1959)
ギャンブルの王様 Le Baron de l'écluse(1960)
フランス女性と恋愛 La française et l'amour(1960)
クレーヴの奥方 La princesse de Clèves(1961)
皇帝のビーナス Venere imperiale(1962)
悲しみの天使 Les amititiés particulières(1964)
太陽のならず者 Le soleil des voyous(1967)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android