日本大百科全書(ニッポニカ) 「オータン・ララ」の意味・わかりやすい解説
オータン・ララ
おーたんらら
Claude Autant-Lara
(1901―2000)
フランスの映画監督。1940年代から1950年代を代表する監督の一人。リュザルシュ生まれ。国立高等装飾学校を卒業後、ジャン・ルノワールの『ナナ』の美術やルネ・クレールの助監督を経て、1923年に『三面記事』で監督デビュー。1947年、レイモン・ラディゲ原作でジェラール・フィリップ主演の『肉体の悪魔』が国内外で大ヒット。コレット原作の『青い麦』(1954)、スタンダール原作でふたたびジェラール・フィリップ主演の『赤と黒』(1954)、ジョルジュ・シムノン原作でジャン・ギャバンがブリジッド・バルドーと共演した『可愛い悪魔』(1958)など、有名な文学作品をオーランシュJean Aurenche(1904―1992)とボストPierre Bost(1901―1975)の脚本家コンビと組んで翻案するのを得意とした。批評家時代のフランソワ・トリュフォーがもっとも攻撃の対象とした監督の一人であり、オータン・ララは生涯ヌーベル・バーグを認めなかった。晩年は極右政治団体、国民戦線(FN)を支持していたことでも知られる。
[古賀 太]
資料 監督作品一覧(日本公開作)
乙女の星 Sylvie et le fantôme(1946)
肉体の悪魔 Le diable au corps(1947)
七つの大罪 Les sept péchés capitaux(1952)
青い麦 Le blé en herbe(1954)
赤と黒 Le rouge et le noir(1954)
パリ横断 La traversée de Paris(1956)
可愛い悪魔 En cas de malheur(1958)
勝負師 Le joueur(1958)
青い女馬 La jument verte(1959)
恋人たちの森 Le bois des amants(1960)
巌窟王 Le comte de Monte Cristo(1961)
傷心 Journal d'une femme en blanc(1965)
愛すべき女・女(め・め)たち Lu plus vieux métier du monde(1967)