奥方(読み)オクガタ

  • おくつかた

デジタル大辞泉の解説


貴人の妻の敬称。他人の妻を敬っていうのにも用いられる。夫人。
《「おくかた」とも》奥の間(ま)のほう。
「今日は―へ召され、姫君様よりお料理を下さるると承る」〈浄・反魂香
奥州方面。
「―に知召(しろしめ)したる人や御入り候」〈義経記・一〉

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大辞林 第三版の解説

身分のある人の妻の敬称。 -様のお出ましだ
家の奥のほう。その家の主婦・子女などの生活する所。おくかた。 今日は-へ召され/浄瑠璃・反魂香
奥州おうしゆう方面。 毎年奥州へ下る者にて候ふが、-にしろしめしたる人や御入り候ふ/義経記 1

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

武家屋敷で、2000~3000石以上の場合は、表向きは男だけで、女性は奥向きで暮らした。この屋敷の構造から、奥向きの主宰者である妻の名を直接ささず、尊敬していったことばで、貴人の妻、夫人の味になった。将軍の妻の呼称は御台所(みだいどころ)であるが、代替りになっても将軍宣下のないうちは御廉中(ごれんじゅう)と称され、これはまた三家三卿(きょう)の妻の呼称でもある。10万石以上の大名の妻は御前様(ごぜんさま)、それ以下が奥方で200石の旗本夫人までが含まれる。呼びかけは普通、奥方様である。[稲垣史生]

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精選版 日本国語大辞典の解説

[1] 〘名〙
① 武家屋敷で、妻、侍女など女性が暮らす奥まった所。奥の間(ま)
※幻庵覚書(1562)「近年座頭と申せば、いづれもおくがたへ参候。心へがたく候へども」
② (奥の建物に住む意から) 公家、大名など、身分のある人の妻を敬っていう語。のちには中流にも用い、現在はからかい、皮肉などの意をこめる時などに使うことが多い。奥様。奥御前。夫人。
※天理本狂言・人を馬(室町末‐近世初)「おくがたへ申て、おはしたの女房を一人申うけて」
[2] 奥州のほう。東北地方。
※義経記(室町中か)一「金(こがね)を商ひて毎年奥州へ下る者にて候が、おくがたに知召(しろしめ)したる人や御入候」
〘名〙 (「つ」は「の」の意) 奥のほう。奥まった所。
※更級日記(1059頃)「あづまぢの道のはてよりも、なほおくつかたに生ひいでたる人」

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世界大百科事典内の奥方の言及

【奥】より

…これは線的に延びるものの最も遠ざかった部分を表しており,巻物や書籍の奥書,奥付もそれに似た用法である。建築空間的には,奥城(おくつき),奥の間,大奥などがあり,夫人を意味する奥方(おくがた)や奥様(おくさま)は,桃山時代や江戸時代の大名屋敷で夫人の居住する部分が屋敷の背後の方に配置されていたことから生まれたと考えられる。そのほか平安時代には,時間的に将来を指しても奥が使われたが,現代ではそれに該当する例は見当たらない。…

※「奥方」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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