日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナカジロシタバ」の意味・わかりやすい解説
ナカジロシタバ
なかじろしたば / 中白下翅
sweetpotato leaf worm
[学] Aedea leucomelas
昆虫綱鱗翅(りんし)目ヤガ科に属するガ。はねの開張30~35ミリ。前翅はほとんど黒褐色で、中央部に4、5個の小白斑(はくはん)があり、その下に黒線が走る。後翅は基部に近い部分が白く、外半は黒褐色。温暖地のガで、年に3、4回発生する。成虫は春から秋にみられ、夜行性で、よく灯火に飛来する。幼虫はサツマイモの葉を食べる害虫で、ときに大発生して大きな被害を与える。幼虫の体長は約45ミリ、体は細長く、刺毛は短くほとんど目だたない。地色は灰青色で、黒点が密にあり、全体に黒くみえることが多い。背面には橙(だいだい)色の線がある。老熟幼虫態のまま土中の繭の中で越冬し、春に現れて蛹化(ようか)する。発生は不規則で、幼虫は春から秋までつねにみられる。本州中部以南から琉球(りゅうきゅう)諸島の全域、アジア、南太平洋諸島、オーストラリア、アフリカおよびヨーロッパの広域に分布する。東北地方で散発的に秋に成虫がみられることがあるが、寒地には土着していない。
[井上 寛]