日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナガヒラタムシ」の意味・わかりやすい解説
ナガヒラタムシ
ながひらたむし / 長扁虫
[学] Cupes mucida
昆虫綱甲虫目ナガヒラタムシ科に属する昆虫。日本各地およびアジア東部、フィリピンに分布する。体長9~17ミリ。体は細長く、暗褐色、全面に小顆粒(かりゅう)と鱗毛(りんもう)を密布し、頭は両側にこぶ状の隆起があり、前胸は角張り、上ばねは各9条の隆起線があり、間は格子状の構造になっている。触角は長いが脚(あし)は短い。夏に灯火にくることが多く、幼虫は細長い円筒形で朽ち木にすむ。
ナガヒラタムシ科Cupedidaeは、世界に広く分布する原始的な甲虫で、化石は中生代に多く、古くはペルム紀(二畳紀)から発見されているが、現生種は30種近くが知られているにすぎない。いずれも細長く、似た形をしており、枯れ木や朽ち木、古い家屋の柱や梁(はり)などにすむ。日本にはヒメナガヒラタムシC. japonicusなど数種を産する。
[中根猛彦]