日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナチュラルキラー細胞」の意味・わかりやすい解説
ナチュラルキラー細胞
なちゅらるきらーさいぼう
natural killer cell
リンパ球の一種。全身の細胞をくまなく監視し、悪性変化して癌(がん)化した細胞やウイルスの侵入を察知し、ウイルスだけでなく感染した細胞ごと殺そうと働く。T細胞のように体内にある特定の抗原をそれと認識して反応するのではなく、ウイルスに感染した細胞をみつけだして殺す殺し屋(キラー)であるため、この名がついた。略称NKC で、NK細胞ともいう。
リンパ球のなかで先天免疫を担っている。体内にある細胞のほとんどは細胞表面にそれと認識される特有な暗号、すなわち主要組織適合遺伝子複合体(MHC:major histocompatibility complex)をもっており、MHCのうちのクラスⅠはすべての細胞の表面に発現している。NK細胞はこのMHCクラスⅠを感知する受容体をもち、その発現量を監視して癌細胞やウイルスに感染し発現量が低下している細胞をみつけだして融解する。これによって正常細胞を傷つけずに免疫機能を果たす。
[編集部]