ナヤン(読み)ナヤン(その他表記)Nayan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナヤン」の意味・わかりやすい解説

ナヤン(乃顔)
ナヤン
Nayan

[生]?
[没]1287
中国,元初の叛王。太祖チンギス・ハンの末弟テムゲ・オッチギンの玄孫。太祖は諸弟を興安領東西に分封。ナヤンはこれら東方諸王中最大の領主権を相続した。至元 23 (1286) 年朝廷が東京行省を咸平 (かんぺい) に設け,満州 (現在の中国東北地方) の女真などの統御の厳格化をはかったところ,女真や東方諸王の不安を招いた。そこで旧制を復活したがすでに遅く,ナヤンは西のハイドゥ (海都)と呼応し,翌年諸王を率いて元を挟撃した。しかし,世祖フビライ・ハンは親征し急襲して彼らを破り,ナヤンは捕えられて殺された。

ナヤン(那顔)
ナヤン
noyan; noyon

首領殿様を意味するモンゴル語もとモンゴルの各氏族の長をさしたが,モンゴル帝国勃興以後,その功績により集団の長に任命された軍事的封建領主を意味した。元朝崩壊後 17世紀頃までは,チンギス・ハンとその兄弟の後裔で,集団の長となったものをさし,一般の領主には用いられなかった。

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