ナーガ(英語表記)Nāga

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナーガ」の意味・わかりやすい解説

ナーガ
Nāga

インド土着のへびの信仰から形成された蛇神。竜と漢訳される。ナーガ,すなわちへび族はパーターラと呼ばれる地底界に住むとされる。バースキその他の竜王がその世界を統治している。竜王たちは巨大で強力で猛毒をもち,頸部に大きな傘状のふくらみを有する。竜王の観念はおそらくキング・コブラの形状から生れたものであろう。ナーガはガルダ (迦楼羅) という伝説上の巨鳥に食われるとされる。ガルダ鳥に食いつくされてしまいそうになったへびの一族を救ったのが,インド文学に有名なジームータバーハナである。彼の捨身物語を戯曲化したのがハルシア朝の王ハルシャバルダナ (7世紀) の『ナーガーナンダ (竜王の喜び) 』である。竜は仏教では天竜八部衆の一つとされ,仏法を守護する半神と考えられた (→八大竜王 ) 。

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