改訂新版 世界大百科事典 「ニカエア信条」の意味・わかりやすい解説
ニカエア信条 (ニカエアしんじょう)
第1ニカエア公会議(325)で採択された信条。父なる神,子なるキリストおよび聖霊の三一神(三位一体)の信仰を定めたもの。原文はギリシア語。アリウスの説いた父と子の従属主義的関係の教えを否定するために,創造主とキリストの関係を〈ホモウシオス(同一実体)〉という聖書に現れない哲学の用語で規定し,さらに四つのアナテマ条項を付加し,神としてのキリストの被造,変化,受肉前の非存在などの教説を異端として退けた。この信条は,パレスティナのカエサレアの洗礼用信条にホモウシオスの語を補い,アナテマ条項を加えたものと考えられていたが,現在では,エルサレムの洗礼用信条を基盤にしたものとされている。なお,上に述べた本来のニカエア信条のほかに,一般には教会の典礼で用いるニカエア・コンスタンティノポリス信条のことをニカエア信条と呼ぶことが多い。
執筆者:森安 達也
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