日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリウス」の意味・わかりやすい解説
アリウス
ありうす
Arius
(250ころ―336ころ)
古代キリスト教の異端者。おそらくリビアに生まれ、アンティオキアで学び、アレクサンドリアで牧職についた。彼の神学的立場は教会内に分裂をもたらし、319年ごろ司教アレクサンドロスAlexandros(250ころ―328)のもとで開かれたアレクサンドリア教会会議によって、彼は破門された。しかしその後も紛争は収まらず、コンスタンティヌス皇帝は決着をつけるために325年ニカイア公会議を招集した。ここで、唯一絶対の神の信仰にたち、キリストを父なる神の第一の被造物として理解する彼の説は、論敵アタナシウスらによって異端説として排斥され、追放刑に処せられた。しかし彼の思想とその追従者たちは、その後も長く政治的な勢力抗争と結び付いて、キリスト教会に論争をもたらした。
[百瀬文晃 2017年11月17日]