トルクメニスタンのアシガバート西方約12km,カラクム砂漠西沿いのバギール村近傍にある都城跡。Nysaとも書く。パルティアの最初の都市として建設され,中世にはホラズムの主要都市のひとつとなった。ややおいて古ニサ(古名ミフルダートカルト)と新ニサとにわかれている。後者は練り土を内核にして泥煉瓦で外装した市壁をもつ五角形平面の都市で,外に郊区をもつ。前者は王宮,神祠,倉庫,書庫を擁した王城。市街では,各種の大倉庫跡が注目され,ブドウ酒を満たして地に埋めこんだ大甕群が特異である。王宮建築では,アケメネス朝建築に固有の山形軒飾とギリシア出自のアカンサス形軒飾とが交互に配列され,また側廊をもった広間の壁龕(へきがん)には祖先崇拝を物語る彫像がおかれた。四面イーワーン式の広間をもつ別の建物では,大理石製のアフロディテをはじめヘレニズム時代に好まれたテーマの彫刻がおかれていた。一方そこから出土した象牙リュトンは40体が復元され,微細な浮彫にはディオニュソス信仰,オリュンポスの神々などのヘレニズムの諸テーマが表現され,獅子,グリフィン,ケンタウロス,有翼馬などを丸彫にした注口をつけている。土器片2500片にはパルティア語がアラム文字で記され,各地から王宮に納入したブドウ酒の送り状であることがわかっている。正確な年紀が記されている点で,ニサをはじめ,パルティアの歴史解明にとってきわめて重要な資料である。
執筆者:桑山 正進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…(7)二重小惑星が存在するとなると,伴星の軌道面の向きしだいでは,伴星が主星の前面を通過するごとに食を起こして,食変光星と同じような光度曲線を示すことが予想される。光度曲線の形から二重小惑星ではないかと考えられている小惑星は44番ニサをはじめとして約10個に及ぶ。小惑星【竹内 端夫】。…
…いずれにせよ,その社会経済的構造はまだ十分に解明されていない。 初期の王都ニサは,第2次大戦後ソ連考古学者の発掘によって発見され,〈ニサ文書〉の出土によって有名である。その後,首都はヘカトンピュロス,バビロニア征服後はクテシフォンに移された。…
※「ニサ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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