改訂新版 世界大百科事典 「ニザダイ」の意味・わかりやすい解説
ニザダイ
Prionurus microlepidotus
スズキ目ニザダイ科の海産魚。本州中部以南,沖縄,朝鮮半島,中国に分布する。カワハギに似た体型をしており,また厚い皮をはいで料理するのでカワハギ(鹿児島),ハゲ(高知,和歌山,下関など)と呼ばれることも多い。体側後部,尾の付け根の前に4~5個の黒い小突起が並ぶ。前の3個が大きく目だつのでサンノジ,サンジルシ(和歌山)と呼ばれ,またこれを銭に見たててゼニハゲ,ゼニモチハゲ(田辺)の名もある。この突起は注意しないと手を切る。このため英語ではこの仲間をsurgeon-fish(外科医魚)という。外海に面した岩礁域の水深5~20mのあたりにすみ,藻類や小甲殻類,ゴカイ,貝類などを餌としている。磯臭いといわれ,クサンボオ(千葉)などとも呼ばれるが,消化管が臭いので,じょうずに料理すれば美味で,関西では洗い,刺身で賞味される。最近では関東でも食べるようになった。しゅんは夏。本種は灰褐色で見ばえがしないが,ニザダイ科にはニジハギ,ナンヨウハギなどサンゴ礁にすむ美しい種類が多い。
執筆者:清水 誠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報