改訂新版 世界大百科事典 「ハイルオト島」の意味・わかりやすい解説
ハイルオト[島]
Hailuoto
ボスニア湾の奥,オウル市の沖にあるフィンランド領の島。面積約195km2,人口891(1981)。森が62%,畑が8%で,住民の69%が農業と林業に従事するが,漁業も重要な副業となっている。隆起の盛んなボスニア湾の海面に初めて姿を見せたのが約2000年前,その後も隆起は続き,三つの島が今では一つになった。〈小ニシンの離れ小島〉を意味するハイリルオトが元の名で,小ニシンを追って,中世初期の頃から漁師が住みついた。1700年代初め,飢饉や戦争で一時無人島となったが,50年にはもう漁師が住みつき,現在にいたっている。島内にはさしたる産業もなく,現在では人口流出が続いている。1600年代初めに建てられた教会は,現存するフィンランド最古の木造の教会である。離れ島だったため,フィンランド本土とは違う独特の手工芸品が生まれた。織物や厚手の毛織物のシャツなどが知られている。灯台がある。
執筆者:荻島 崇
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