日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボスニア湾」の意味・わかりやすい解説
ボスニア湾
ぼすにあわん
Gulf of Bothnia
北ヨーロッパ、バルト海北部の海域。スウェーデンとフィンランドの両国に挟まれた、ほぼ北緯60度より北の部分をさす。スウェーデンのウーメオとフィンランドのバーサを結ぶ線を境に、北半分をボスニア湾、南半分をボスニア海とよぶこともある。大部分は水深が100メートルより浅く、しかも汽水性のため、冬季はしばしば完全結氷する。この期間、沿岸の港湾は閉鎖を余儀なくさせられる。更新世(洪積世)には北ヨーロッパ全域を覆った巨大なスカンジナビア氷床の中心となった。氷床が消失した現在でも、アイソスタシー(地殻均衡)による地盤の上昇が続いており、その速度は年間平均5ミリメートル~1センチメートルを記録する。沿岸にはパルプ、製紙、製材などの工場が多く、その廃水が水質汚染の原因の一つとなっている。沿岸漁業も盛んで、ニシン、タラ、サケの漁獲量が多い。
[田口雄作]