ハイ河(読み)ハイが(その他表記)Hai he

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハイ河」の意味・わかりやすい解説

ハイ(海)河
ハイが
Hai he

パイ (白) 河ともいう。中国北東部,テンチン (天津) 市を流れる川。ペイ (北) 運河,ヨンティン (永定) 河,ターチン (大清) 河,ツーヤー (子牙) 河,ナン (南) 運河の5河川が順次合流してハイ河となり,市街地を南東流してポー (渤) 海に注ぐ。合流点から全長 70km。北をイエンシャン (燕山) 山脈,西をタイハン (太行) 山脈,南をホワン (黄) 河の沖積地に囲まれたホワペイ (華北) 平原北半を流域とする。 300以上の支流を集めるが,川幅の最狭部は 100mにすぎない。また,黄土地帯を上流域とするために,河水は大量の土砂を含み,洪水が繰返された。 1939年にはテンチン市街が2ヵ月にわたって冠水した。人民共和国成立後,特に 63年の大水害後,ハイ河治水の大工事が始り,堤防の修築と大規模な浚渫が行われた。また諸支流で治水,灌漑工事が進められ,直接ポー海に通じる放水路も開削されたために,洪水は基本的に治まった。ナン運河,ペイ運河はター (大) 運河の一部として,元代から南北交通に大きな役割を果した。外洋からペキン (北京) 市への通路にあたるため,アヘン戦争以来ヨーロッパ諸国に重視され,1860年テンチン港の開港とともに外国船の自由航行が認められた。河口近くにタークー (太沽) ,タンクー (塘沽) の両港が開かれていたが,1952年から河口外側の浅海を浚渫して大規模なテンチン新港が建設された。またテンチン港まで 3000t級の船舶が航行できる。

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