改訂新版 世界大百科事典 「ハリヤーナー」の意味・わかりやすい解説
ハリヤーナー[州]
Haryana
インド北西部の州。面積4万4212km2,人口2114万4564(2001)。州都チャンディーガル。1966年,当時のパンジャーブ州のうちヒンディー語地帯を範域として州を形成した。州名は〈ビシュヌ神(ハリはその別名)の住む所〉の意。パンジャーブ平原の南東端にあたり,北東から南西に緩やかに傾斜する標高200~300mの低平な平原が続く。降水量は400mm前後の地域が多く,南西端はタール砂漠北縁部にあたる。西ヤムナー用水路網によって過半の耕地が灌漑されるため,小麦,米,サトウキビ,油料作物,ヒヨコマメなどの産が多く,パンジャーブ州とならぶインドの穀倉をなす。工業は州南東部に飛地状に存在するデリー連邦直轄地に集中し,同州はその後背地の農業地帯にあたる。そのため大都市もなく,農産加工,紡績,毛織物などの工業が,散在する小都市に立地するのみである。インド史上の〈中原〉の地にあたり,北のクルクシェートラはアーリヤ人の最初の根拠地として知られ,その南のパーニーパットは数次の天下分け目の戦いの場であった。北西境のアンバーラーAmbālāはインド最大の軍事基地の一つである。
執筆者:応地 利明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報