改訂新版 世界大百科事典 「ハルドワール」の意味・わかりやすい解説
ハルドワール
Hardwār
インド北部,ウッタル・プラデーシュ州北西端にあるヒンドゥー教の一大聖地。ガンガー(ガンジス)川がヒマラヤ山脈からインド大平原に流下する出口に位置する。人口17万5010(2001)。ガンガー川の渓流が美しく,古代起源の聖地として有名。廃墟と化したとりでと三つのヒンドゥー寺院が往時の繁栄をしのばせる。ハルドワールとは,〈ビシュヌ神へ通じる門戸〉を意味する。全国より訪れる巡礼者は,それぞれ寺院の参拝をすませると,ガンガードワーラ寺院に隣接するガート(沐浴場)で身を清める。ガートの石壁には,ビシュヌ神の足跡とされるものが刻まれている。その下の池の水は,全国各地の祭りのために〈神の水〉として参拝客に持ち帰られる。町の経済は,巡礼者の観光収入に依存し,みやげもの店やホテルが多い。最大の祭りは,ヒンドゥー暦にしたがって,3月20日~4月10日の間,太陽が牡羊座に入るころに催され,町は参拝客で混雑する。
執筆者:中山 修一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報