日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハルネス」の意味・わかりやすい解説
ハルネス
はるねす
Benjamín Jarnés
(1888―1950)
スペインの小説家、評論家。1920~30年代にかけて活躍。芸術至上主義の立場で精緻(せいち)な文体を駆使し、叙情味あふれる作品を数多く発表。バロック的伝統を思わせる隠喩(いんゆ)や奇知主義的表現に秀でる。代表作としては『役立たずの教師』(1926)、『パウラとパウリーナ』(1929)、中世の伝説に想を得た『ビビアナとメルリン』(1930)があげられるほか、文芸評論の分野でも『ベッケルの二重の苦悩』(1936)などの優れた評論がある。内戦を契機に一時メキシコに亡命するが、病気のためふたたびスペインに戻りマドリードで没した。
[東谷穎人]