日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハーンパー」の意味・わかりやすい解説
ハーンパー
はーんぱー
Pentti Haanpää
(1905―1955)
フィンランドの作家。小学校卒業後、森林労働と農業に従事しながら、短編集『国道に沿って』(1925)でデビュー。北部寒村の農民や材木切出人の不毛に近い生活を描き、社会批判ともいえる作品を多く残した。とくに、短編作品群は、生活語を多用し、荒々しくも鋭い洞察に満ち、簡潔で迫力に富んだ風刺のきいた独自の文体で綴(つづ)られ、「ユットゥ」(小話)とよばれて新ジャンルとなった。その作品は数多く、死後にも遺稿集三巻が刊行され、創作力のある作家として評価は高まるばかりである。『原野と兵舎』(1928)、『荒野の戦争』(1940)など、社会風刺小説にも傑作を残した。
[高橋静男]