革またはゴムなどで作ったひざのあたりまで届く深い靴。古くから日本では,黒革製で筒が長く,雨天のときに公家が履いた深沓(ふかぐつ)や,積雪量の多い地方を中心に広く用いられたわらぐつ(藁沓)などがあったが,近代的な長靴は明治初年に乗馬用の革製のものが作られ,軍人や警察官が使ったのが最初で〈ちょうか〉と呼ばれた。ゴム製の長靴は,1905年にアメリカから輸入されたのが最初で,3年後の08年に東京の三田土ゴム合名会社が輸入品に刺激されて試作したが,これはまったくの試作に終わった。19年ごろから神戸を中心とする関西方面に本格的なゴム靴工業が起こり,ここから国産のゴム長靴が供給されるようになった。以来長靴は,水しごとに関与する漁師や農民などの労働用履物としてはもとより,都市生活一般においても雨天の日の履物として重用されるようになった。しかし,道路舗装が進んだ結果,最近では都市の日常生活にはあまり使用されなくなった。その素材も,黒色のゴムから,赤や黄など色あざやかなビニル系樹脂などが使用されるようになっている。なお昭和50年代に入って,冬季の女の,続いて男の履物として定着した革製の長靴は,ブーツと呼びならわされている。
執筆者:高田 公理
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…革またはゴムなどで作ったひざのあたりまで届く深い靴。古くから日本では,黒革製で筒が長く,雨天のときに公家が履いた深沓(ふかぐつ)や,積雪量の多い地方を中心に広く用いられたわらぐつ(藁沓)などがあったが,近代的な長靴は明治初年に乗馬用の革製のものが作られ,軍人や警察官が使ったのが最初で〈ちょうか〉と呼ばれた。ゴム製の長靴は,1905年にアメリカから輸入されたのが最初で,3年後の08年に東京の三田土ゴム合名会社が輸入品に刺激されて試作したが,これはまったくの試作に終わった。…
…ペローはこれらの作品から採り入れたものと思われる。猫に長靴をはかせたのと,猫が城の人食い鬼をだまして鼠に変身させて食べるところはペローが加えたものと考えられている。現在ではこの話は全ヨーロッパで知られているが,いずれもペローの作品によるものである。…
※「長靴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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