日本大百科全書(ニッポニカ) 「バケフサアナゴ」の意味・わかりやすい解説
バケフサアナゴ
ばけふさあなご / 化房穴子
Japanese shorttail eel
[学] Coloconger japonicus
硬骨魚綱ウナギ目フサアナゴ科に属する海水魚。原産地は沖縄舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)(トラフ)で、その後、台湾南部、南シナ海からもとれた。体は太短くて側扁(そくへん)し、胸びれの基部付近でもっとも体高が高い。頭部は目の後縁より前方で著しく縦扁(じゅうへん)し、尾部は強く側扁する。尾部長は肛門(こうもん)前長(吻端(ふんたん)から肛門までの長さ)よりも短い。頭は小さく頭長は全長の17~19%である。目は小さくて、眼径が吻長より小さい。吻は突出せず、上下両顎(りょうがく)の前端は等しい。前鼻管は短い管状で吻端近くに位置し、後鼻孔(こうびこう)は管状ではなく、目の前方にある。口は普通大で、水平に開き、口裂の後端は目の後縁付近に達する。上唇の縁辺は遊離しない。上下両顎の歯は小さい円錐(えんすい)状で、主上顎骨では1列、下顎では2列に並ぶ。前上顎骨に1列に並ぶ4~6本の円錐歯がある。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)には歯がない。鱗(うろこ)はなく、皮膚は薄い。鰓孔(さいこう)は胸びれ基底部に裂孔状に開口する。側線孔は管状に開く。頭部には多数の感覚管が開口する。小皮弁(皮質突起)が眼後部、頭頂部、背びれの前方の背部、側線直上にまばらに散在する。背びれは鰓孔の上部近くから、臀(しり)びれは肛門の直後から始まる。胸びれはよく発達する。体は一様に黒褐色。全長約56センチメートルになる。水深750~780メートルにすみ、底引網できわめてまれにとれる。本種は以前から知られていたフサアナゴと比べて頭長が短いこと、目が吻長より小さいことなどの特徴で区別できる。
[尼岡邦夫 2019年11月20日]