バリューズ(その他表記)Étienne Baluze

改訂新版 世界大百科事典 「バリューズ」の意味・わかりやすい解説

バリューズ
Étienne Baluze
生没年:1630-1718

フランスの歴史家。テュルに生まれる。碩学の誉れ高いトゥールーズの大司教ピエール・ド・マルカの秘書を務め,その薫陶を受けた。大司教の没後,1700年までコルベール司書として30年間古書収集に当たり,マザランの手帳,フーケの手文庫などを含む貴重な文献をはじめ,コルベールの文庫の名を高からしめる古書の多くを購入した。1689年王立教授団(のちのコレージュ・ド・フランス)の教授,1707年には団長となり,多くの中世ラテン古文書の模範的校訂本を出版した。友人のブイヨン枢機卿がルイ14世との不和からフランス国外に去ったとき,枢機卿の依頼もあって執筆したオーベルニュ家の系譜研究に,偽造古文書を使ってブイヨン枢機卿も属するこの家系を正統化しようとしたとして,弁明の機会も与えられず財産を没収され,10年80歳でパリから追放された。ルーアンブロアオルレアンなど各地を遍歴しながらも,古文書を転写し,研究を続けた。ユトレヒト条約後ブイヨン家に対する勘気が解けるとパリに戻ることは許されたが,年金は復活されなかった。マビヨンデュ・カンジュ,メナージュらの友情に助けられながら88歳で没するまで仕事を続け,30にのぼる古写本を校合して聖キプリアヌスの書簡集を刊行している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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