バリード(英語表記)barīd

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バリード」の意味・わかりやすい解説

バリード
barīd

イスラム国家の駅逓・通信制度。最初はビザンチン帝国およびササン朝ペルシア帝国の駅逓制度の模倣であったが,ウマイヤ朝カリフアブドゥル・マリクがその組織化を行なった。アッバース朝時代に入って国家の中央集権化が進むと,バリードは地方総督の動向や物価・財政状態を中央政府に報告する情報収集機関としての役割も果すようになった。駅舎は,イランでは2ファルサフ (12km) ,イラクエジプトでは4ファルサフ (24km) おきにおかれるのが普通であり,馬,ろば,らくだ,それに危急の場合にははとが用いられた。 10世紀以降になると,マムルーク朝を除いてこの制度が次第にくずれはじめ,セルジューク朝アイユーブ朝では必要に応じて飛脚,早らくだ,あるいははとが使用された。

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