改訂新版 世界大百科事典 「バルタ川」の意味・わかりやすい解説
バルタ[川]
Rzeka Warta
ポーランド北西部の川。ポーランドとドイツの国境を流れるオーデル(オドラ)川右岸最大の支流で,全長808km,流域面積5万4607km2に及ぶ。源流はクラクフ・チェンストホバ高地に発し,ビエルコポルスカ平野を北流する。コウォ付近で東西方向のモレーン丘陵群にぶつかり,西へ流れを変え,ポズナンを経てビエルコポルスカ平野をほぼ貫流してオーデル川に合流する。春に高水位となるが,河状は比較的安定している。バルタ川支流のノテチ川とビドゴシュチ運河によってビスワ河谷と結ばれている。ポズナンまで可航で,とくにドイツ東部からウクライナなどに及ぶ輸送路の一部として重要な役割を果たしている。また13世紀のドイツ騎士修道会の東漸運動をはじめ,異民族のポーランド侵入の通路ともなった。中世のポーランド王国はバルタ川中流域の肥沃な平野を基盤に繁栄した。流域にはチェンストホバ,シェラズ,コウォ,コニン,ポズナン,ゴジュフ・ビエルコポルスカなどの都市がある。
執筆者:山本 茂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報