日本大百科全書(ニッポニカ) 「バンコク銀行」の意味・わかりやすい解説
バンコク銀行
ばんこくぎんこう
Bangkok Bank Public Co., Ltd.
東南アジア屈指、タイ最大手の商業銀行。20世紀前半、タイは外国銀行資本のもとに支配されていた。第二次世界大戦中の1944年、バンコク銀行は王室やバンコクの華僑(かきょう)系実業家により登記資本金16万ドル、従業員23名でバンコクの中国人街の商店内に設立された。この銀行の共同設立者の一人であるチン(陳(ちん))Chin Sophonpanich(1910―1988)は、1952年に同行が経営危機に陥った際に社長に就任し、タイ政府の支援を得て危機を乗り切り(1953年に同政府が一部資本参加)、1977年まで社長を務めた。このチンを中核として、現在タイ最大の華僑系財閥グループが形づくられている。
1944年に設立されたバンコク銀行は、1950年代に入るとタイの産業を支える農業(コメ)や繊維、鉱物資源の関連業者などに融資を拡大し、鉄鋼企業、電力会社、農協などの発行する債券の引受業務にも携わった。1954年には香港(ホンコン)、東京など海外市場に進出(1955年12月に在日支店設立)。東南アジアからロンドン、ハンブルク、ニューヨーク、ロサンゼルスと欧米にも支店をもち、1975年にはタイ証券取引所に上場した。2008年時点の総資産は1兆6771億1100万バーツ、預金は1兆3222億8700万バーツ、貸出金は1兆1812億1700万バーツ、純資産は1756億0300万バーツであり、従業員数は2万1192人。海外に15支店、二つの完全子会社、および1か所の代理店、また国内に950以上の支店を有している。
[上川孝夫・佐藤秀樹]