パリのアメリカ人(読み)ぱりのあめりかじん(その他表記)An American in Paris

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パリのアメリカ人」の意味・わかりやすい解説

パリのアメリカ人
ぱりのあめりかじん
An American in Paris

ジョージ・ガーシュイン作曲管弦楽曲。1928年、パリ旅行の印象に基づいて作曲され、同年ニューヨークのカーネギー・ホールで初演された。既存の形式にとらわれず、自由なラプソディー風の三つの部分からなり、パリの町をもの珍しげに歩き回るアメリカ人の姿をユーモラスに描いている。『ラプソディー・イン・ブルー』で好評を得たガーシュイン独特の親しみやすい旋律と新鮮なブルースハーモニーがこの曲にも生かされ、さらに伝統的な和声法や管弦楽法を学んだ成果がごく自然な形で混合されたシンフォニック・ジャズである。こうした音楽の様式からみても、また題材そのものからみても、両大戦間におけるアメリカの文化を象徴した作品といえよう。なお1951年には、この曲を中心にしたミュージカル映画巴里(パリ)のアメリカ人』(監督ビンセント・ミネリ、振付け・主演ジーン・ケリー)がつくられた。

[三宅幸夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「パリのアメリカ人」の解説

パリのアメリカ人〔曲名〕

アメリカの作曲家ジョージ・ガーシュインの管弦楽曲(1928)。原題《An American in Paris》。『ラプソディー・イン・ブルー』と同じく、ジャズ要素を採り入れたガーシュインの代表曲の一つ

パリのアメリカ人〔ミュージカル〕

2014年初演のミュージカル作詞:アイラ・ガーシュイン、作曲:ジョージ・ガーシュイン、演出・振付:クリストファー・ウィールドン。1951年公開のアメリカ映画「巴里のアメリカ人」に基づく。

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世界大百科事典(旧版)内のパリのアメリカ人の言及

【ガーシュウィン】より

…24年,P.ホワイトマンの依嘱で書かれた《ラプソディ・イン・ブルー》はジャズの用法をクラシック音楽に応用した作品として絶大な反響をあつめ,〈シンフォニック・ジャズ〉の傑作といわれた。以来,歌曲およびミュージカルとコンサート用のクラシック作品を並行して作曲し,《ピアノ協奏曲ヘ長調》(1925)や交響詩《パリのアメリカ人》(1928)などの名作を書いた。35年にはオペラ《ポーギーとベス》を発表し,アメリカの最初の民族的オペラとして高く評価された。…

※「パリのアメリカ人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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