日本大百科全書(ニッポニカ) 「パリのアメリカ人」の意味・わかりやすい解説
パリのアメリカ人
ぱりのあめりかじん
An American in Paris
ジョージ・ガーシュイン作曲の管弦楽曲。1928年、パリ旅行の印象に基づいて作曲され、同年ニューヨークのカーネギー・ホールで初演された。既存の形式にとらわれず、自由なラプソディー風の三つの部分からなり、パリの町をもの珍しげに歩き回るアメリカ人の姿をユーモラスに描いている。『ラプソディー・イン・ブルー』で好評を得たガーシュイン独特の親しみやすい旋律と新鮮なブルース・ハーモニーがこの曲にも生かされ、さらに伝統的な和声法や管弦楽法を学んだ成果がごく自然な形で混合されたシンフォニック・ジャズである。こうした音楽の様式からみても、また題材そのものからみても、両大戦間におけるアメリカの文化を象徴した作品といえよう。なお1951年には、この曲を中心にしたミュージカル映画『巴里(パリ)のアメリカ人』(監督ビンセント・ミネリ、振付け・主演ジーン・ケリー)がつくられた。
[三宅幸夫]