改訂新版 世界大百科事典 「パンゼラ」の意味・わかりやすい解説
パンゼラ
Charles Panzéra
生没年:1896-1976
スイス出身のフランスのバリトン歌手。第1次世界大戦でフランス軍に志願し,同国に移住。パリ音楽院に学び,1919年オペラ・コミック劇場における《ウェルテル》のアルベール役でデビュー。しかし,《ペレアスとメリザンド》のゴロー役など例外はあるにせよ,彼の本領が発揮されたのはむしろ歌曲においてであり,とくにフォーレ,ドビュッシー,デュパルクらのフランス歌曲の優れた解釈者として,フランスはもとより国際的に高い評価を得,夫人で名伴奏者のバイヨMagdeleine Baillotとともに世界各地で演奏会を催し,賛辞を受けた。フォーレ晩年の名歌曲集《まぼろしの水平線》は,パンゼラに献呈され,22年彼によって初演されている。51年パリ音楽院の教授となった。
執筆者:笠羽 映子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報