パンチャシラ(その他表記)Panca-Sila

改訂新版 世界大百科事典 「パンチャシラ」の意味・わかりやすい解説

パンチャ・シラ
Panca-Sila

インドネシア共和国建国五原則のことで,1945年8月18日制定・施行憲法前文に述べられている。インドネシアイスラム国家でなく,世俗国家であることをはっきりさせたものである。五原則とは,最高神への信仰人道主義,インドネシアの団結民主主義,社会的公正,の五つを指し,最高神への信仰という表現は,信教自由の積極的表現であるとされている。パンチャ・シラの形成とその理解をめぐっては,いわゆる〈国体論争〉が今も激しく行われている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パンチャシラ」の意味・わかりやすい解説

パンチャ・シラ
Pantja-Sila

インドネシアの建国「五原則」を意味するサンスクリット語。 1945年6月,日本軍政下に開催された独立準備委員会でスカルノ (のちの大統領) が提唱したもので,(1) 民族主義,(2) 人道主義,(3) 民主主義,(4) 社会正義,(5) 唯一神への信仰から成り,イスラム国家建設という主張を退け世俗主義に基づく建国精神を強調している。独立憲法の前文に取入れられたが,1950年代末以後スカルノの政治姿勢の急進化に伴い次第に風化した。しかし 68年,スハルト政権がみずからを正当化すべく「パンチャ・シラ民主主義」を標榜し,84年には,すべての政党がパンチャ・シラのみを組織原理とすることが義務づけられた。同政権はパンチャ・シラの解釈権を独占することによって,ほとんどあらゆる政敵に対して「反パンチャ・シラ主義者」と攻撃しうる位置を占める。

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旺文社世界史事典 三訂版 「パンチャシラ」の解説

パンチャ−シラ

建国五原則

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世界大百科事典(旧版)内のパンチャシラの言及

【インドネシア】より

…鷲の翼,尾翼,胸,足の羽根の数は,独立した1945年8月17日の数字に合わせてそれぞれ19,45,8,17枚描かれている。胸の中の五つのシンボルは国是であるパンチャ・シラ(建国五原則)を表している。唯一絶対神への信仰(星),公平で文化的な人道主義(鎖),インドネシアの統一(榕樹),協議と代議制を通じ英知に導かれた民主主義(野牛),全人民に対しての社会正義(稲と綿)。…

※「パンチャシラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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