パンヤノキ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パンヤノキ」の意味・わかりやすい解説

パンヤノキ

熱帯アジア原産パンヤ科の高木で,種子に生える長い綿毛を詰め物やふとん綿などに用いる。一般にパンヤノキと呼ばれることのある植物は次の2種である。 (1) カポック Ceiba pentandra; kapoc tree ホンパンヤノキとも呼ばれ,熱帯アジアの原産。大高木で枝が水平に張り,7~9枚の小葉から成る複葉をもつ。種子に長い毛があり,これを枕やクッションに利用する。 (2) インドワタノキ Bombax malabaricum; cotton tree カポックと同じくパンヤ科の落葉大高木で,マレーシアの乾燥地に自生する。単にワタノキともいう。高さ数十mになり,幹は径 50cmほどになる。葉は互生し,長い葉柄のある掌状複葉である。花は径 10cmぐらい。枝先に単生し新葉の出る前に開く。萼も花弁も肉質,花弁は5枚で表面が白く裏面は赤い。多数あるおしべの花糸も紅色で美しい。 蒴果の中には綿毛をもつ種子が多数あり,この毛をカポック同様に利用するほか,種子油は綿実油,樹脂はトラガカントゴムにそれぞれ代用する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パンヤノキ」の意味・わかりやすい解説

パンヤノキ
ぱんやのき
[学] Bombax ceiba L.
Bombax malabaricum DC.

パンヤ科(APG分類:アオイ科)キワタ属の落葉高木。インドワタノキ、キワタノキ、ワタノキなどの別名がある。近縁のケイバ属で、やはり種子を包む綿毛のあるカポックノキCeiba pentandra (L.) Gaertn.は別名ホンパンヤノキといい、ともに英名をsilk cotton treeというので、両者はしばしば混同される。

[田中正武 2020年4月17日]

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