葉身が複数の部分に分かれている葉をいう。単葉に対する語。分かれている部分を小葉とよび、小葉の並び方や軸との位置関係からいくつかの形がある。葉軸の左右に小葉が並ぶものが羽状複葉で、このうち、軸の先端に小葉があるものを奇数羽状複葉(フジなど)、先端の小葉を欠くものを偶数羽状複葉(ナンキンマメなど)とよぶ。葉軸からさらに側軸を出して、これに小葉が左右につくものは2回羽状複葉(ネムノキなど)とよばれる。葉柄の先端に小葉を放射状につけるものは掌状複葉(アケビなど)とよばれる。ただし、葉柄の先端に3枚の小葉をもつものについては三出複葉(クズなど)とよばれる。なお、原則的には羽状複葉であるバラの葉でも、その小葉が三葉だけであるため、三出複葉となることがあるし、ミツバアケビでみられる三出複葉はアケビと同属という関係を考えれば掌状複葉に関連が深いとみることができる。したがって、三出複葉が羽状複葉と掌状複葉のいずれに関係が深いかは、種類によって違うと考えなければならない。三出複葉の左右の小葉の軸の外側へさらに小葉をつけるものを鳥足状複葉(とりあしじょうふくよう)(ヤブガラシなど)という。一般にシダ植物には複葉が多く、葉軸から側軸を出し、その側軸からさらに側軸を出すというような3回羽状複葉など複雑なものがみられる。なお、シダ植物では、葉の説明として羽片、小羽片の語がよく用いられる。羽片とは小葉のことであり、小羽片とは細かく2回、3回と何回か分かれた複葉の一つ一つの小葉を意味している。
[原 襄]
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…毛や鱗片などの付属物をつけている場合も多い。葉身lamina(blade)の構成にも変化があり,単葉と複葉に二大別できる(図1)。単葉は葉身が単一の面でできたもので,辺縁は全縁のものから深く切れ込むものまでさまざまで,ほとんど中肋近くまで切れ込むものでは複葉との差がはっきりしない。…
…失速事故で墜死するまでに2000回の実験を行い,固定翼の空力特性について,貴重な資料を残した。彼に続いて多くの研究家がグライダーの実験を始めたが,アメリカのシャヌートOctave Chanute(1832‐1910)は,自然界には見られない複葉翼のグライダーを考案した。複葉とは主翼の翼面積を2枚に分けて上下に配置する形式で,単葉翼に比べて全体がコンパクトにまとまる利点があり,その後の飛行機設計者に大きな影響を与えた。…
…これらに始まる初期の航空機の翼は,反りのある薄い翼型がよいとされ(図5),強さを外の支柱や張線で保った。この場合,上下の翼で一体の架構に組める複葉が構造上有利なので,第1次世界大戦時と戦後の1910~20年代は複葉機が主流だった。だが一方で翼を厚くしても空力的に不利はないとの判断から,内部の骨組みで強度を保てるような厚翼とし,外の支柱や張線を廃して抵抗を減らした片持ち式構造の単葉機も作られ始めた。…
※「複葉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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