病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 の解説
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤
《パノビノスタット乳酸塩製剤》
ファリーダック(ノバルティスファーマ)
《ボリノスタット製剤》
ゾリンザ(MSD、大鵬薬品工業)
パノビノスタット乳酸塩製剤は再発または難治性の多発性骨髄腫の治療に、ボリノスタット製剤は皮膚T細胞性リンパ腫の治療に使用されます。従来の抗ガン剤とは異なる作用機序をもち、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害することで、ガン抑制遺伝子などの発現を増加させ、ガン細胞の増殖を抑えると考えられています。
パノビノスタット乳酸塩製剤では、重い下痢、脱水症状、骨髄抑制、出血、感染症、QT間隔延長、心障害、肝機能障害、腎不全、静脈血栓塞栓症、低血圧、起立性低血圧、失神、意識消失が現れることがあります。ボリノスタット製剤では、肺塞栓症、深部静脈血栓症(胸の痛み、呼吸困難、片方の足の急激な痛みや腫れ)、血小板減少症(鼻血、歯ぐきの出血、四肢などの皮下出血)、貧血(息切れ、めまい、全身倦怠感)、脱水症状(全身倦怠感、口渇、尿量が減る)、高血糖(口渇、多飲、多尿)、腎不全(乏尿やむくみなど)が現れることがあります。このような症状が現れたら服用を止め、すぐに受診してください。
そのほかに、吐き気・嘔吐、白血球減少、低カリウム血症、浮動性めまい、味覚異常、頭痛、動悸、疲労などが現れることがあります。
①カプセル剤で、1日1回の服用ですが(ボリノスタット製剤は食後)、病状によって適宜減量します。指示された服用方法を守ってください。
②ボリノスタット製剤では、この薬の成分に過敏症の病歴がある人、重度の肝障害の人は服用できません。
パノビノスタット乳酸塩製剤では、血小板減少または抗凝固療法を受けている人、感染症、QT延長のおそれのある人、高齢者、ボリノスタット製剤では、軽度及び中等度の肝機能障害や糖尿病またはその疑いがある人、静脈血栓塞栓症のある人またはその病歴がある人は、使用できないことがあります。また、母乳での授乳は中止してください。
③パノビノスタット乳酸塩製剤では、低血圧、失神などが現れることがあるので、服用中は自動車の運転や危険な作業は避けてください。
出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報