改訂新版 世界大百科事典 「ヒメツルソバ」の意味・わかりやすい解説
ヒメツルソバ
Polygonum capitatum Buch-Ham.
インド北部,ヒマラヤ地方から中国南部に分布するタデ科の多年草であるが,観賞用に栽培され,通常は春まき一年草として秋に咲く花を楽しむ。葉は尖卵形でV字形の暗紫色の斑紋があり,茎は地をはい,各節で根づき,長さ60cmに及ぶ。秋には各節から10cm程度の小枝を立て,先端に2~3個の球状の花穂をつける。小花は桃色で,一面に咲くと美しい。霜にあえば枯れるが,こぼれ落ちた種は越冬して,その場で春に発芽する。秋のうちに温室に鉢植えとして取りこめば枯れずに宿根し,温度しだいで冬から春にかけて開花する。ロックガーデンや花壇,プランターには春に直まきして育てるが,夏の間に挿芽したものを平鉢に咲かせてもよい。日当りのよい場所なら土質を選ばずよく育つが,乾燥地よりも水湿の多いほうが適している。
執筆者:浅山 英一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報